介護と介助の違いは?定義や目的が異なり、12パターンから解説!

介護と介助の違いについて改めて聞かれると「何が違うの?」「同じではないの?」とはっきりと答えられる人は少ないのではないでしょうか。

一般的な表現では「介助」とは具体的に必要なお手伝いの動作そのものを指すことが多いです。

また、「介護」とは具体的な介助も含めその他の支援全体を総称するものとして使用している方が多いでしょう。

ここでは介護と介助の違いについて11の項目で具体的な事例をあげながら説明します。

ぜひ、最後まで読んでください。

①身体の介護と介助の違い

身体介助とは「身体」とつく通り、直接身体に触れるお手伝いをさします。

具体的にはトイレに行くこと、立ち上がり、寝返り、歩行、食事、入浴の手伝いなど、動作や直接身体に関わるお手伝いが「身体介助」です。

身体介助」「身体介護」は双方、動作に関わるお手伝いであると理解するとよいでしょう。

たとえば、ご自分で朝、目覚め、トイレに行き、顔を洗い、歯を磨く一連の動作をご自分で出来ない方を想像してください。

声を掛けてもらって目をさまし、顔を拭くタオルを準備してもらう。

タオルを手渡してもらえばご自分で顔を拭くことが出来ます。

これは直接身体にふれていませんが自分で出来るところまでを準備する介護といえます。

動作に対しての触れるお手伝いでありませんが身体介護といえるでしょう。

もし、ここで顔をタオルで拭くという動作を行ったときは介助をしたと言っていいでしょう。

歯磨きも歯ブラシにに歯磨き粉を付ける、水を入れたコップを準備する、といった準備は介護といえます。

ここで、歯ブラシで歯を磨きコップを口元までもっていき水を含んでもらいすすいだものを口から出してもらうことをちくいち声をかけお手伝いをした場合は介助をしたと言えるでしょう。

以上のように動作に直接お手伝いしたことが介助でありそれらを含め、声かけ、促しを行うなどが介護と理解していただくと分かりやすいのではないでしょうか。

介護士歴28年目黒田由紀子
介護士歴28年目黒田由紀子

声かけや見守りは安心という名の「介助」といえるかもしれませんね

②食事の介護と介助の違い

食事は準備し配膳してからご自分で食べられない方のお手伝いが食事介助といいます。

つまり、口の中に食べものを運ぶお手伝いを食事介助と理解していただけるとよいでしょう。

食事介護では配膳をする際、必要な箸やスプーンを準備したり片手が不自由な方が食器が動かないような工夫をしたりします。

皆さん食べる食器や食べ方も同じではないので必要な物をご本人に聞いたり、ご様子を見たりしながら対応します。

また、食べている最中もきちんと飲み込めているか食事が進んでいるかを見守りをします。

たとえば進んでいないようなら声をかけおかずの味が口に合わないのか、食欲がないのか尋ねます。
そこで、必要ならおかずを小さく切ってみたり、おかずをごはんの上にのせたりお手伝いをします。
これらは、直接食事を口元まで運ぶことではないですが、必要な支援になります。

配膳から上記のことを含めて食事介護と理解されるとよいでしょう。

介護士歴28年目黒田由紀子
介護士歴28年目黒田由紀子

食事は楽しみの一つですよね。安心、安全も含めて楽しい時間を提供したいものです

 

③排泄の介護と介助の違い

次に排泄について説明します。

排泄はトイレやおむつ交換、ポータブルトイレ、差し込み便器など支援の内容はさまざまです。

ここでは、トイレでの排泄介助を考えてみましょう。

車椅子あるいはベッドに横になっているところからおトイレにお連れするとします。

トイレまでお連れする場合、ただ声を掛けてトイレまで自走もしくは歩いて行ける方の場合はお声かけをしてトイレに向かってもらいます。

ここで、声かけをするというのは直接身体には触れていません。でも、ご自分で尿意を感じトイレに行けない方には「声かけ」は必要な介護です。

その後、トイレまで向かわれ、ご自分でズボンや下着の上げ下ろし、排泄後、水を流し、手を洗えれば介助は必要ありません。

けれども、トイレに向い、立ち上がれても、自分でズボンの上げ下ろしが出来な方にはそこで介助が必要になります。

できない場合にはトイレに到着後、手すりにつかまり立ち上がってもらい、ズボンや下着の上げ下げを行います。その後、手を洗い、必要であれば水道の蛇口の開け閉め、手を拭くタオルなども手渡しをします。

排泄中も必要ならトイレのドアの外で見守りをします。

直接手を出すのは衣類の上げ下げだけですが、お声かけや、見守りをし手を洗うお手伝いなどそれらを総称して排泄介護と理解されるといいのではないでしょうか。

介護士歴28年目黒田由紀子
介護士歴28年目黒田由紀子

できるところは維持してもらい出来ない所のお手伝いを見極めることも大切ですね

④入浴の介護と介助の違い

次に入浴について説明します。

最初は入浴介護についてです。

入浴する前の必要な準備があります。

着替えや浴室の準備です。

直接身体に触るお手伝いではないので入浴介護といえます。

また、入浴時は体調管理も含め観察が必要です。
食事は摂れているか、水分や内服も出来ているのか、熱や血圧なども普段と変わりがないのかなどの確認も入浴介護に含まれます。

また、実際に浴室へ向かい、衣類を脱ぐ行為もできるところは行ってもらい、そうでない時はお手伝いします。衣類の脱ぎ着、身体や髪の毛を洗うこと、浴槽への跨ぎなどご自分で出来る場合はそばで見守りをします。

では、入浴介助はというと衣類の脱ぎ着などの支援をさします。

身体や髪の毛を洗い、浴槽へ跨ぐ際に身体を支える、またはリフトなどの機械を使用し湯船に入ることも入浴介助といえるでしょう。

これらの直接身体に触れる行為、準備、健康観察なども含め入浴介護と理解してもらうとよいでしょう。

介護士歴28年目黒田由紀子
介護士歴28年目黒田由紀子

入浴はご利用者様とゆっくりと過ごせる時間ですよね。清潔保持だけでなくコミュニケーションもとれる有意義な時間にしたいものです。

⑤歩行の介護と介助の違い

 

次に歩行についてです。

何の道具も使用せず歩いている方を独歩(どっぽ)といいます。

歩行しているのは独歩の方だけではありません。
たとえば、杖、歩行器、シルバーカーを使用している方もいます。

歩行介助・介護といった時、それぞれに必要な支援が変わってきます。

独歩の方では同じ歩調で隣を歩いたり、手をつないだりします。

杖を使用している方で麻痺がある場合は麻痺がある方に立ち、軽く脇を支え、同じペースで歩きます。

杖は麻痺がある方だけが使用しているとは限りません。

下肢筋力が弱っている方も杖やシルバーカーを使用しています。

下肢筋力が弱って使用している方はどちら側に立っても良いでしょう。

同じペースで歩くことは変わらず、足元に注意し転びそうになった時はすぐに支えられる心構えを持ち隣を歩くことをおすすめします。

足元が不安定である方、目が不自由な方は支えて、歩調を合わせる行為が歩行介助といえるでしょう。

そうでない方は「転ぶかもしれない」と危機管理意識をもち隣で歩調を合わせ歩く事が歩行介護といえるのではないでしょうか。

介護士歴28年目黒田由紀子
介護士歴28年目黒田由紀子

誰でもいつまでも歩きたいと思うもの。怪我なく過ごせる支援を心がけたいですね。

⑥移乗(移動)の介護と介助の違い

 

移乗・移動の介護と介助の違いについて説明します。

移乗とは車椅子からベッド、あるいは車椅子から普通の椅子への座り替えなどの動作の支援を移乗介護と呼びます。
移動とはお部屋からトイレ、あるいはトイレから浴室などへの違う場所へ移ることを移動介護と呼びます。

それぞれ、直接身体に触れ動作へのお手伝いが介助と呼び、それらを総称し介護と理解してもらうことは他の支援と同じです。

ここでは、ベッドから車椅子への移乗するとしましょう。

ベッドから足を下ろし靴を履きその後に車椅子へ座り替えます。

ベッドに足を下ろすことは出来るが靴は履けない、立ち上がる時も何かにつかまり腰を支えてもらわないと立てない場合はその支援が必要になります。

靴を履かせる、柵につかまってもらい、腰を支える、車椅子を必要な位置に置くことが移乗介助といいます。

もしこれら一連の動作がご自分で出来ても、立ち上がりが少し不安定な方の場合はここで一連の流れを側にいて見守りが必要です。それが移乗介護と考えるとよいでしょう。

次にトイレから浴室への移動をするとしましょう。

お声かけして浴室へ移動できる方は、車椅子の自走を見守りする移動介護といえるでしょう。

実際に車椅子を押して、移動をする方が移動介助をすると言えます。

介護士歴28年目黒田由紀子
介護士歴28年目黒田由紀子

座り替えなどの移乗はご本人のペースを大切にお手伝いしていきましょう

⑦更衣介護と介助の違い

次に更衣介護について説明します。

たとえば、日常着からパジャマに着替えるとしましょう。

まず、タンスからパジャマを出し準備します。

「これから、寝る時間になるからお着替えをしましょう」と声を掛けます。

出来ない部分の支援、つまりここでは、着替えをするまでの準備と声かけが更衣介護といえるでしょう。

更衣介助は日常着からパジャマへの着替えを支援します。

衣類を着るときは麻痺がある方から先に通し、次に麻痺がない方を通します。
衣類を脱ぐときはその反対で麻痺のある方から脱いで、後から麻痺の無い方を通します。

更衣介助には上記のことを注意して行うとよいでしょう。

介護士歴28年目黒田由紀子
介護士歴28年目黒田由紀子

麻痺があったり拘縮が進んでいる方のお手伝いは少し大変かもしれません。ゆっくり丁寧に行うよう心掛けたいものです。

⑧寝返り介護と介助の違い

次に寝返りについて説明します。

私たちは夜眠っている時、横を向いたり、仰向けになったり、自然に寝返りをしていますよね。

自分で動けない方の支援が寝返り介護です。

それは、ベッド上で排泄介助を行った時、ご自身で寝返りが出来ない方の身体の向きを変えることを指します。

この場合は介助そのものが介護になっていると理解していただくとよいでしょう。

そもそも、「私、寝返りの仕方を忘れちゃった」という方はほとんどみられません。

寝返りが出来ない方はご自身で身体を動かすことが難しい状態です。

なので、「寝返りをして下さい」と声を掛けて「はい、わかりました」と返事があり、その方を見守りするという介護はほとんどありません。

なぜなら、身体を動かせる方は眠っていても自然と寝返りをしています。

つまり、身体を動かせない方の向きを変える支援が寝返り介助・介護といえます。

介護士歴28年目黒田由紀子
介護士歴28年目黒田由紀子

私たちは自然に寝返りしているのでしびれたりはしませんよね。寝返りをすることで血流が良くなります。ご自分で行えない方には大切な支援ですよね。

⑨生活支援介護と介助の違い

生活支援介護について説明します。

上記までは身体に触れ、動作を直接お手伝いしたり、見守りしたりするサポートを身体介護と説明してきました。

生活支援はそれらの動作とあたりまえの生活が継続できるようなサポートを言います。
具体的には買い物や家事、通院の付き添いなどがそれにあたります。

たとえば、自分で食事は出来るが、買い物と炊事が下肢が悪く難しい、といった場合を想像してみてください。

できない所のサポートなので、洗濯物は洗うことは出来るが干すことは出来ない

だから、洗濯物を干してもらう支援が必要となるわけです。

また、下肢が悪い為、買い物はいけない場合は買い物の代行もお願いもします。

このようなことが生活支援介護といえるでしょう。

生活支援とは、そもそも身体に直接触るものではありません。

生活支援の介護と介助を考える場合、買い物や病院の付き添いに車への乗り降りに介助が必要な時があると理解するのがよいでしょう。

生活支援そのものが介護であるといえます。

介護士歴28年目黒田由紀子
介護士歴28年目黒田由紀子

あたりまえの生活の継続の基本となるのが生活支援といえるでしょう

⑩服薬の介護と介助の違い

次に服薬について説明します。

薬については間違ってしまうと命の危険も伴う為、ご本人も支援する側も注意が必要です。

服薬介助とはご自身で薬が飲めない方の口の中に薬を入れ、飲んだかどうか確認するところまでをいいます。

ご自分で薬が飲めるが、その他に注意が必要な方の支援は以下の通りです。

まず、お薬が間違っていないかの確認です。

薬の種類、個数や飲む時間などがそれにあたります。

次に、飲み忘れを防ぎ、間違いなく薬が飲めるような準備をします。

これらの支援をする方法としていくつかあります。

たとえば、薬局で薬の分包をしてもらい日にちを書いたり、服薬カレンダーやピルケースなど使用したりして飲み間違い、飲み忘れがない工夫をするとよいでしょう。

このような準備をしておくことで飲み忘れや飲み間違いの予防につながります。

また、その方の病気と薬の副作用などを知っていることで、いつもと違う症状や様子が見られれば、薬を飲んでいない事や薬が合わない様子をいち早く把握できます。

たとえば、糖尿病の方の食前薬の飲み忘れや、血糖値のコントロールが上手く出来ていない症状が出た場合です。

冷や汗がでたり、意識が遠くなったりします。

このようなことがないように、服薬が間違いなく継続できる支援が服薬介護といえるでしょう。

介護士歴28年目黒田由紀子
介護士歴28年目黒田由紀子

お薬の飲み忘れなどから認知症の発症も気付けることがあるかもしれません。プレッシャーをかけることなく見守っていきたいですね

⑪コミュニケーション介護と介助の違い

次にコミュニケーション介護と介助の違いについて説明します。

介助・介護の技術の中で一番に難しいのがコミュニケーションといえます。

お互いの意思疎通をするために言葉や表情、声、ボディーランゲージなど駆使して日々行っていますよね。

たとえば、言葉を使って会話をしますが相手の気持ちがそれだけでくみ取れるわけではありません。

日常の態度、声色、表情などから気持ちを汲み取り、相手の思いを表しやすい問いかけの方法をそれぞれに見つける必要があります。

たとえば、高齢者の場合、「何か食べたいもの、出かけたい場所」と質問した時はっきりと固有名詞で返事を出来る人ばかりではありません。

「特にない、分からない」といった返事はよくみられます。

そんな時、行きたい場所や食べたいものを聞くのではなく、昔旅行に行った場所を聞いてみたり、2択の選択肢を出して選んでもらったりなどすると相手の気持ちを表現しやすくなることがあります。
また、言葉が上手く話せない方は、二択の選択肢を表現するときも目の前に両手の人差し指を差し出し、「右が〇〇、左が〇〇、どちらがいいか指してみて」と問いかけする方法はとても有効です。

コミュニケーションとは介助と介護の区別はなく介護そのものといっても過言ではないでしょう。

介護士歴28年目黒田由紀子
介護士歴28年目黒田由紀子

お話しすることは何気に難しいですね。でも、お互いを知りあえることは喜びでもあります。積極的にお声かけしていきましょう。

介護と介助の違いで、どちらが大変?

今まで介護と介助の違いを説明してきました。

身体に直接触れるサポートを介助としそれらを含めて見守り、声かけの支援が介護といえるのはお分かりいただけたでしょうか。

介助は実際に身体に直接触れ支援するケアであるとすると体力をつかいますよね。

寝返りも出来ない方のお風呂に入れる支援はなかなかの重労働です。

たとえば、関節が固くなってきている方の衣類の脱ぎ着、寝返りはケガをしないように気を使います。
また、入浴は裸の状態での介助になる為、力加減によっては骨折や内出血を作ってしまう事もあります。

「あー介助は大変」と思われるのではないでしょうか。

では、介護はどうなのか、考えてみましょう。

直接身体に触れ、サポートをすることばかりではないのが介護ですよね。

たとえば、食事も自分で召し上がれる、トイレも自分で済ませられる方がいるとしましょう。

でも、認知症があり、同じことを何回も繰り返す。同じ質問、同じ返事をしても数秒後に同じ訴えが続く。

介助は少ないですが、認知症が強く、見守りだけでなく、不安な気持ちを傾聴し話を聞く介護が必要な方です。

力という体力は必要ありませんが、同じ訴えを聴き、繰り返すという忍耐力が必要です。

「あー介護も大変」と思われるのではないでしょうか。

介助という動作の技術と介護という心配りの技術、双方あって成り立っていると言えます。

そして、介助・介護の目的はと考えた時、「人が当たり前の生活をするためのサポート」であると言えるのではないでしょうか。

人が人のために行う行為は何事も大変である。

しかし、やりがいもあると思えるのが介護・介助ではないでしょうか。

介護士歴28年目黒田由紀子
介護士歴28年目黒田由紀子

介護で不安なことや心配なことがあったらどなたか周りの人に相談してみてください。何か新しい方法や考え方が見つかるかもしれません。

目の前のお一人のために頑張りすぎず、続けて参りましょう。

介護と介助の違い 介護 介助
身体 身体に触れない動作の支援全て 身体に触れて動作の支援
食事 食事に関わる動作の支援全て 口元まで食べ物を運ぶ支援
排泄 排泄に関わる動作の支援全て 排泄動作の直接支援
入浴 入浴に関わる動作の支援全て 入浴動作の直接支援
歩行 歩行に関わる動作の支援全て 歩行動作の直接支援
移乗・移動 移乗・移動に関わる動作の支援全て 移乗・移動動作の直接支援
更衣 更衣に関わる動作の支援全て 更衣動作の直接支援
寝返り 介護も介助も同じ、身体が動かない方の直接支援
生活支援 身体介護以外の生活支援全て 生活支援をする際に行う直接支援
服薬 薬をきちんと飲めるための支援全て 薬を口に入れてもらい飲み込むまでの支援
コミュニケーション 介護・介助の区別はなく同じである
介護・介助どちらが大変 どちらも大変でやりがいもある

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