「看護と介護の違いとは何か」をひとことで比較するのは難しいのではないでしょうか。
ケアを行う職業では同じと言える看護と介護について7つのポイントを挙げて違いを比較してみましょう。
ぜひ、最後までお読みください!
看護と介護の違い!知恵①対象者が異なる
人に関わる仕事である点では同じですが、「対象となる方」の状態が違います。
大きく分ければ優先順位が医療行為なのか生活の支援なのかの違いと言えるでしょう。
看護師は医療行為が必要な状態の方のケアを行います。
治療、回復のために医療的ケアを行うのが看護師といえるでしょう。
つぎに、介護士はどうかというと、高齢や障害などにより日常生活を送るために支援が必要になった方のケアを行います。
生活のあらゆる場面でお手伝いが必要です。
たとえば、掃除や洗濯、買い物、外出の付き添いなど行います。
また、入浴、排せつ、食事が一人で行えず、動作に対して何らかのサポートが必要な方です。
生活動作にサポートが必要な方のケアを行うのが介護士といえるでしょう。
対象になる方の違いはありますが双方の役割は重なっているといえます。
なぜなら、日常的に生活支援を受けている方にも病気はあるからです。
治療や生活援助で必要な時、それぞれケアしていますよね
看護と介護の違い!知恵②目的が違う
2つ目の違いは何のためという「目的」です。
看護は病気やケガ、障害の治療や療養を促進し回復を支援するために行うケアです。
しかし、介護の目的は1つの結果があるようなものではなく快適な日常の継続にあります。
それは、障害でサポートが必要な状態が続いていたとしても快適な生活が送れるよう心身の自立を支援し生活の継続を目的としているからです。
たとえば、脳梗塞を発症したとします。
でも、治療は成功、詰まった血管は治ったとしても障害が残った時、その後はどうしたらよいでしょうか?
障害が残ったとしても生活はしなければなりません。
それぞれ違う目的のように見えますが、「人々の快適な生活」という一本の線の上に双方の目的があると言えるのではないでしょうか。
私たちのケアが皆さんに喜んでいただけると嬉しいですよね
看護と介護の違い!知恵③役割が違う
3つ目の違いは行う内容「役割」の違いです。
看護師の業務は医師の指示に基づいて、薬の投薬や処置を行います。
その他の業務は患者の状態を観察し、行ったケアについて記録をします。
また、患者の不安がある時には傾聴し、その気持ちに寄り添うケアが必要になるでしょう。
医師からの患者や家族の説明の補助やそのほかの相談もしばしばみられます。
たとえば、検査についての説明を受けた後、再度、確認したいことなどは看護師に質問することもあるのではないでしょうか。
医師と患者のパイプ役は看護師として重要な役割です。
では、介護の役割について説明します。
食事、入浴、排せつなどの日常生活動作の介助や家事や買い物の代行などです。
心身の健康観察も行い、介護保険に関する手続きや相談事はケアマネージャーに連絡をします。
しかし、実際には入院している方のトイレに行くお手伝いを看護師が行うのは必要なケアといえます。
つまり、看護師の役割は医療行為だけではなく日常動作のお手伝いもおこなっているのです。
そして、介護士は医療行為は行えませんが、診察や処置が必要な状態を見極め看護師や医師に報告する役割も持っています。
他職種の役割や知識を理解することも大切ですよね
看護と介護の違い!知恵④資格が違う
4つ目の違いは「資格」です。
最初に看護師の資格について説明していきます。
看護師と准看護師の資格があります。
看護師は国家資格に合格し、厚生労働大臣に免許を交付が必要です。
准看護師は、指定養成所を修了し都道府県知事に免許を交付されます。
看護師の資格の差は2つあります。
1つ目は准看護師は医師、看護師からの指示のもと医療行為が行えます。
2つ目は日々の業務に関しては変わらないものの看護師は自分の判断で業務が行えますが、准看護師は自己判断で業務することは出来ません。
また、准看護師は他の看護師への指示は出せないとされています。
次に介護士の資格について説明します。
介護福祉士は国家資格に合格し、厚生労働大臣に免許を交付が必要です。
介護職員初任者研修を修了した者は介護職員として就業できます。
以上のようにそれぞれの資格は、国家試験や研修などで取得できる方法を紹介しました。
資格取得はスタートです。その後の実務経験でスキルを身につけましょう
看護と介護の違い!知恵⑤勤務場所が違う
5つ目は「勤務する場所」の違いについてです。
看護師は病院、診療所、介護老人保健施設、訪問看護ステーションなどに勤務できます。
病気の治療するための病院などは看護師が多く就業しています。
介護系の事業所で看護師が多く配置されているところは介護老人保健施設や訪問看護ステーションです。
これらの施設は医師も常駐しており、訪問看護ステーションは病院に併設されているところが多くみられます。
介護老人保健施設や訪問介護ステーションは病院ではありませんが、医療処置が必要な方を受け入れる介護施設や事業所と理解していただくとよいでしょう。
介護士は特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、訪問介護事業所などに勤務できます。
このような施設では介護士の比率が高く配置されています。
なぜならば生活支援がメインであり医療処置があまり必要でない方を受け入れている施設であるからです。
施設にはそれぞれ特色があり、医療従事者が多めであったり介護士が多めであったりします。
どんな方のケアがしたいのかという目的によって就業場所は変わってくるでしょう
看護と介護の違い!知恵⑥給与が異なる
6つ目の違いは「給与」です。
給与は看護師と介護士同じ正社員として比較すると看護師の方が高い結果となっています。
ただ、看護師と介護士の給与については一律に比較することは難しいです。
なぜなら、看護師と介護士の給与の違いは働く事業所や条件で異なってくるからです。
正社員とパートとなれば条件としてパートの方が給与は低くなるでしょう。
また、介護保険施設であれば処遇改善手当が支給されている事業所もあります。
基本、介護士に支給されているものですが、実際にそのお金の分配は各事業所によって変わってきます。
ですが、多くの事業所は処遇改善手当は介護職に多く分配されています。
そのため、他の職種には少ないか、もしくは分配されないものと考えて間違いありません。
給料についてはその事業所の管理者に聞いてみるのがいいでしょう
看護と介護の違い!知恵⑦共通点
今まで看護と介護の違いについて7つ挙げてきましたが最後に両方の「共通点」を説明します。
どちらの職業も人々の生活を支えるために必要な職業です。
そして、安心と安全を提供する仕事でもあります。
また、患者や被介護者の当事者はもとより、家族、行政、他事業所、他職種の方々とのコミュニケーション力は必須といえます。
なぜなら、一人の人を支えるためにチームで働くからです。
たとえば、腎機能低下し人工透析が必要になった方がいるとしましょう。
人工透析をするためのシャントを作ったり透析を受けるにあたっての受診の説明をしたりなど医療面でのサポートが看護師が担います。
実際にその方の置かれている環境が一人暮らしなのか、年齢はどのくらいなのか、もし高齢であれば認知症はあるのか、病院に来るまでの交通手段はあるのか、他の病気は持っていないのかなどとその方を取り巻く事情は変わってきます。
そして、治療と生活を継続するために必要なサポートをケアマネージャーや介護士が担う部分です。
このように他の業種の方のサポート必要なケースが今は増えているのが実情といえるでしょう。
また、物事の正しさや自分の価値観だけで決めるのではなく、相手の置かれている環境や心情への共感力も求められます。
たとえば、先ほど挙げた透析の患者さんには水分や塩分制限があります。しかし、「飲みたい、味の濃いものが食べたい」という欲求もあります。
看護師の立場であれば正しさを通したいところでもありますが、患者の気持ちに共感が必要です。
このような場合は栄養士に相談して塩味が少なくてもおいしく食べられるコツを教えてもらったり、何か代替えになる食品を聞いてみたりなどして介護士であれば実際に調理や提供することが役割となります。
看護師であっても介護士であっても他職種の役割を理解しそれぞれに繋げる役割は求められていると言っていいでしょう。
そして、それぞれの職種は学習の継続が必要です。
資格を習得し就職すれば完成ではありません。
新しい薬、新しい治療方法、新しい法律、新しい介護方法など医療も介護も日々進化しています。
そして、一番の共通点は相手のことを思いやるホスピタリティの精神を持ち合わせた職業といえるでしょう。
患者様、ご利用者様のためこれからも頑張ってまいりましょう
看護と介護の違い知恵のまとめ
違い | 看護 | 介護 |
対象者 | 医療行為が必要な方 | 生活動作にサポートが必要な方 |
目的 | 病気やケガの回復が目的 | 心身の自立を支援し生活の継続が目的 |
役割 | 医師の指示に基づいた医療的ケア | 日常生活動作の介助や家事の代行 |
資格 | 国家資格の看護師、都道府県知事に認められた准看護師 | 国家資格の介護福祉士、初任者研修を修了者 |
勤務場所 | 病院、診療所、老人保健施設、訪問看護ステーション | 特別養護老人ホーム、老人保健施設、グループホーム、訪問介護事業所 |
給料 | 看護師>介護士 ただし、スキル、経験年数、就業形態により変動 | |
共通点 | ・人々の生活を支え、安心と安全を提供する仕事 ・コミュニケーション力、共感力、学習の継続が必要 ・相手のことを思いやるホスピタリティの精神を持つ仕事 |
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